樹のある道と、樹のない道。


vol-02

樹のある道と、樹のない道。
 


 

私たちが作った緑のまち「実りある暮らしの街~新農住コミュニティ野火止台~」。
この街には80種類以上の樹木が植えられ、四季の訪れを知らせてくれます。また、街の中には2つの道が存在し、一つは車が通る車道(開発道路)、もう一つは15棟の家と家との間に作られた歩く人専用の縁道(フットパス)。
縁道の両側には樹木が植えられ、夏は緑のトンネル道に。
樹のない車道と、樹のある縁道。
この2つの道をサーモカメラで撮影してみると、樹木がもたらす自然の力と緑の街の大切さが見えてきました。



2021年8月2日 − 外気温32

サーモカメラにて車道と縁道を撮影



外気温が32℃に対して、樹のない車道(地面)は40℃を超えました。地上から2mほどの高さになると外気温に近い温度に。車道の仕上げはインターロッキング(コンクリート)。樹などの日除けのない道は、直射日光を受けるため外気温よりも約10℃温度が上昇していました。
また、インターロッキングは熱を蓄え、気温が下がってくると放熱してしまうため1日中気温が下がりづらい状況になってしまいます。一方で、道の両側に樹木が植えられている縁道は、道のほとんどが木陰になり外気温よりも気温が低く、快適な外部環境になっていました。縁道の仕上げは「真砂土(まさど)」。樹木の足元は、できるだけ土のまま残すことで熱を蓄えづらい環境にしています。道沿いに樹があるか?樹がないか?その結果、こんなにも外気温に差が生まれるのです。
この街で暮らす子どもたちは、熱をもりづらい土や縁道を裸足で駆け回り、伸び伸びと暮らしています。
外気温が30℃を超える夏、道ゆく人たちは日向を避け、日陰を探して、できるだけ涼しい環境を求めます。家も人間と一緒で、夏は室内が暑くならないよう、熱流入が最も多い窓に日陰をつくると、小さなエネルギーで空間を快適にすることができます。

この街で暮らしている住まい手さんたちは、この緑の環境を気に入って選んでくださった方がほとんどですが、緑のまちに住むということは、快適な住環境とエネルギー消費量を抑えたエコな住宅を手に入れたことになり、地球環境にも優しい暮らしをしていることになるのです。

今は、建物単体でどう快適に暮らすか。と考えている住宅が多いために、新しい住宅が建築されるたびに土や樹がなくなってしまいます。そうではなく、地域の気候に応じて自然の光•風を取り入れ、時に遮りながら、小さなエネルギーで暮らすことのできる住まいを建築していかなくてはいけないと、改めて実感します。

 

記:2021-08-04 staff:yamaguchi

Table of contents



vol-01 暑い外と、快適な家。

vol-02 樹のある道と、樹のない道。

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