暑い外と、快適な家。


vol-01

暑さが厳しい夏。快適で心地よいお家じかんを過ごすために「暑さ」の理由を知り、快適に夏を暮らす方法をお伝えします。

ムシムシとベタつく7月下旬、夏真っ盛りの日。
竣工したばかりの「草木のいえ」にて赤外線放射温度計を使用した室内外の温度測定を行いました。実際に測定してみると、素材による温度の違い、熱が移動する理由が分かり、快適に暮らすための工夫が見えてきました。
草木のいえは、断熱•気密数値がUA値:0.47W/㎡•K、C値:0.7m2/m2の住まいです。空調設備は、OMソーラーの全館空調パッシブエアコン(以下:全館空調PA)を搭載しているため各居室に個別エアコンを設置するのではなく、屋根裏に空調本体を設置しダクティングにより各フロアーへ冷気を送風しています。家のどこに居ても快適な空間をつくりる住まいです。
イラストのように、冷気は上から下へ流れます
小屋裏で冷やされた冷気をダクトを通して2階の天井吹出し口から下へ移動します。階段などの吹抜けを通じて2階から1階へ冷気は移動します。1階の天井からも冷気を出すことが可能です。冷房運転する際の推奨設定温度は27℃〜30℃。

この日は【外気温:33℃】の真夏日でした。草木のいえは、設定温度27℃で全館空調PAを冷房運転させています。 
▶︎関連:パッシブエアコンのしくみ



1F リビング【全館空調PA冷房運転 / 自動風 / 設定温度27℃】


一般住宅の室内では暖かい空気は上へ昇り、冷たい空気は下へ降りるせいで、天井部分と面では5℃前後の温度差ができます。 冷房しているときに足下だけが冷えすぎてしまうなんて体験をされた方もいらっしゃると思いますが、草木のいえではその心配はなく快適な暮らしが実現されます。
また、リビングだけが涼しいのではなく、玄関•トイレ•洗面•浴室も、27℃〜28℃の快適で心地よい空間です。




2Fホール【全館空調PA冷房運転 / 自動風 / 設定温度27℃】


「今の家は2Fが暑い」夏の見学会に来られたお客様が口を揃えてお話されます。屋根に近ければ近いほど温度が高くなるのは当然ですが、草木のいえは2階フロアーも24時間空調が稼働しているため、いつでも快適です。



屋根裏



屋根にもっとも近い夏の屋根裏は50℃近い温度まで上昇し、とても人が滞在できる空間ではありませんが、全館空調PAを搭載する住まいは、天井断熱ではなく屋根断熱にて施工し、屋根裏にPA本体を設置するため1•2階の27-29℃の温度が屋根裏に吸い込まれることで、屋根裏まで快適な温度になります。




外部環境【外気温:33℃】



夏の外部環境は特に素材選定が大切です。
草木のいえの天然木ウッドデッキは40℃ですが、これが樹脂製のウッドデッキになると50℃近い表面温度になり、とてもウッドデッキで過ごすことはできません。駐車場のコンクリートは50℃。コンクリートは蓄熱•放熱の作用があるため、家の周りを全てコンクリートで覆ってしまうと日中蓄熱された熱が外気温が下がる夜に放熱され、1日中温度が下がらず、それが建物にも影響します
一方で植栽の葉っぱが36℃で留まるのは、葉っぱは水分を含んでるいるためです。そのため、私たちはコンクリートで覆う面積は最低限として土を残し、緑を植えて木陰をつくり、家の中に熱を取り入れづらい環境を設計しています



窓:YKK-ap•APW330 【室内は、全館空調PA冷房運転 / 自動風 / 設定温度27℃】


「窓は、壁にあいた熱の穴」と言われる程、家の中で最も熱の出入りが多い場所です。夏の熱流入の74%は窓から入ってきます。そのため、高性能な家には高性能な窓を取り付ける必要があります

窓のU値を比較すると、
●【U値:6.5】アルミサッシ+1枚ガラス  ※築15年以上の住宅によく使われている
●【U値:2.3】アルミ樹脂複合窓+LOW-E複層ガラス
●【U値:1.5】樹脂窓+LOW-E複層ガラス  ※今回測定した草木のいえ(増木の標準仕様)
※U値とは:温度差のある空間を隔てる材料(壁や窓)の熱の伝えやすさを表す数値。 小さいほど熱を伝えにくく断熱性能が高い。

このように窓はサッシの素材とガラスの組み合わせで何倍も断熱性能が違い、家全体の断熱性能に大きく関わってきます。さらに「穴」という意味では、気密性能/C値にも大きく関わってきます。

新築であれリノベーションであれ、高性能な住まいを建築する際は、高性能な窓を選択することが基本中の基本です。
▶︎参考:あたらしい家づくりの教科書 / YKK AP(株) 水上氏の文章より引用

庭の植栽の表面温度が低いのを利用して、熱移動がもっとも大きい窓を覆うことで熱の流入を抑えることができるのが「グリーンカーテン」です。高性能な窓を選定するのは大前提ですが、それと同時にグリーンカーテンや庇•軒の出で「日除け」を考慮する設計や暮らしを実践するのがパッシブハウスに繋がります。
「熱の移動」「暑さの理由」を理解すると、夏を快適に暮らすためにはどうしたら良いかが見えて来ます。できることから始めてみませんか?



記:2021/8/2 staff:yamaguchi




Table of contents



vol-01 暑い外と、快適な家。
vol-02 樹のある道と、樹のない道。

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