農ある暮らし

とある日の朝。天気もよく、時間にゆとりもあったので、のんびりと歩いて通勤することにしました。(4km程度)雑木林の散歩道に入ると涼しい風に迎えられ、あぜ道を歩いて行く先に広がる田園風景には驚くばかり。

志木街道から1本入った場所にこれだけの畑が広がっているなんて。しかも丁寧に耕されており、四季を通して趣のある景色が展開されています。建築物どころか電柱や車道さえもほぼ視界に入ってこない。この風景がこれから先何年も続いて欲しいと願わずにはいられません。

私達のプロジェクト新農住コミュニティは「実りある暮らし」と「農ある暮らし」を掲げています。少しでも多くの意識が自然であったり畑であったりに向かう事で無機質な街並みに変化が訪れるかも知れません。建築を生業とする私たちにとって矛盾する様かもしれませんが、つくらない建築も選択肢としては十分ありえるのではないかと思うのです。
建物は最小限に。できる限り土を残してコンクリートで覆わない。作物や緑を育て実る喜びや過程を体験し共有する。

その日、あぜ道で挨拶をしてすれ違った方が、この先を曲がると富士山がよく見えるよと教えてくれました。普段は見えないらしい富士山にも出会えて武蔵野と呼ばれた地域の魅力はこれだなと一人納得したのです。目の前の風景が新しいプロジェクトの意義をより明確にしてくれた気がする素敵な朝でした。

記:さいとう

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